その島には、至るところに「置屋」があった・・・その島は、はるヲうる「売春島」。
本作は、そこで生きる行き場の無い思いを抱えた男女の姿を描きだす。
映画『はるヲうるひと』は、コミカルな演技や嫌みな演技が魅力の佐藤二朗さんが脚本と監督を務めた映画です。
舞台劇の映画化!
原作の『はるヲうるひと』は、俳優や脚本家で知られる佐藤二朗さんが主宰する演劇ユニット「ちからわざ」によって2009年に初演、2014年に再演され演劇界からも絶讃された舞台劇が映画化されました。
佐藤二朗さんは、この舞台劇の映画化を切望し自らが原作・脚本・監督を務め約5年を費やして完成させたという、思い入れの強い作品に仕上がっています。
舞台版では佐藤二朗さんが主演でしたが、映画版では主演を山田孝之に譲り、自らは置屋を仕切る凶暴な長男にふんして、持ち味のジワジワとした「怖さ」を存分に生かしている。
佐藤監督は、本作は「架空の島の売春宿で、生きる手触りが掴めず死んだ様に生きる男女が、それでも生き抜こうともがく壮絶な闘いのおはなし」とコメントしています。
売春島は実在した?
本作の舞台が「架空の島の売春宿」とされていますが、とある県の離島では同じような島が実在したと言われています。
その島の歴史は古く江戸時代にまでさかのぼり、江戸と大阪を結ぶ航路上に位置し「風待ちの寄港地」として多くの船が停泊していました。
島の女性たちは休息する船乗りを相手に、はるヲうってお金を稼いだそうです。
そうした遊郭は、1957年の売春防止法の施行で一掃されたのです。
架空ではなく、本当に実在した島の物語であればリアル感が増しますネ!
ざっくりあらすじ
その島には、本土から日に二度連絡船がきて島との往来の足となっていた。
島の住人たちは、この閉塞された島で一生を過ごす・・・。
そしてその島には、至るところに「置屋」が点在する・・・その島は売春島。
置屋の女たちは島にやってきた客から「外」の話を聞いて、思いを馳せる。
その島の、置屋「かげろう」に “三兄妹”はいた。
長男の哲雄は店を仕切り、粗暴で凶悪な性格で恐れられている。
次男の得太は置屋の呼び込みと、遊女たちの世話係をしながら哲雄にこびへつらい、子分のようにしたがっている。
哲雄と得太は腹違いの兄弟だが、得太は哲雄から目の敵にされていた。
長女のいぶきは、得太と母親が一緒で血の繋がった兄妹で、長年持病を患い床に伏している。
ここで働く4人の遊女たちは暴力によって哲雄に支配されていたが、こびへつらう次男の得太をバカにして、長女のいぶきに嫉妬していた。
いぶきは、女を売る家で唯一女を売らず、それどころか優遇された箱入り娘の存在。
しかも、いぶきはだれよりも美しかった。
その美しいいぶきを、得太は幼少から見守り、寄り添ってきたのだった。
本作は、とある「売春島」の置屋で3兄妹がもがきながら生きる様を映し出す。
キャスト
得太役/山田孝之
山田さんは、最近ではワイルドなキャラクターやアクの強い個性的な役が多く映画やドラマ・舞台と様々なフィールドで活躍しています。
出演作ごとに全く違うタイプの役柄を演じわけ、カメレオン俳優としての評価も得て一味違う個性ある役者として注目されています。
いぶき役/仲里依紗
仲里さんは美人過ぎず、かといってブサイクでもなく結構親近感のある女優さんです。
現在では女優・モデルとして引っ張りだこの活躍で、数々のドラマや映画にも出演し賞も多数受賞するほどの実力派です!特に楽しすぎる、インスタグラムが話題になっています。
哲雄役/佐藤二朗
佐藤さんは、予想もつかない変幻自在のアドリブを得意とし、唯一無二の存在感とコミカルな個性で人気を博しています。自身で演劇ユニット「ちからわざ」を主宰するほどに演技への思い入れが強く、独特の演技と空気を持つ俳優さんです。
他にも、向井理や坂井真紀、原作の舞台版からは今藤洋子・笹野鈴々音・太田善也・大高洋夫・兎本有紀らが出演しています。
結末は?
舞台版からは、誰かが救われることもなく、ハッピーエンドという感じもなく、その後も島での同じような生活が続いていくような感じがします・・・「私は、はるヲうる人」と。
映画は、舞台版のバージョン2という内容と思われます。
まとめ
そこは「売春島」・・・はるヲうる人の島。
その島の、置屋「かげろう」に “三兄妹”はいた。
映画『はるヲうるひと』は、売春宿が軒を連ねる架空の島を舞台に、とある3兄妹がもがきながら生きる様を映し出す。
映画『はるヲうるひと』2021年6月・公開予定
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