卑弥呼は本当に存在したのか。
三億円事件の犯人は誰なのか。
オズワルドは本当にケネディを暗殺したのか。
こうしたミステリーの類は枚挙に暇がなく、尽きることのない人間の好奇心と想像力を刺激してくれます。
そんな話をもうひとつ。「フラナン諸島の謎」って聞いたことがありますか?
とある無人島に造られた灯台で、突如として3人の男が行方をくらませたこの事件。
100年以上が経った今日でも語り継がれるミステリーです。
今回はこの事件を題材にした映画『バニシング』を紹介します。あらすじや登場人物のほか、元になった事件の詳細にも触れているので、気になる方はぜひ読んでみてください。
Contents
『バニシング』はどんな映画?
『バニシング』(The Vanishing)は、2018年に制作されたイギリスのサイコ・スリラー映画です。
実際に起きた未解決の失踪事件「フラナン諸島の謎」に基づいた作品で、監督はクリストファー・ニーホルムが務めています。
ちなみに、ニーホルム監督はデンマーク出身。ラース・フォン・トリアー監督の下で仕事をした後、2007年にテレビシリーズ「THE KILLING/キリング」を手掛けて知名度を上げました。本作が劇場用映画デビューとなる期待の監督です。
主演を務めたのはジェラルド・バトラー。スコットランド生まれの俳優で、『300 〈スリーハンドレッド〉』や『ジオストーム』で知られています。
共演は『マイ・ネーム・イズ・ジョー』や『戦火の馬』のピーター・マランと、気鋭の新人コナー・スウィンデルズ。
イギリスでは2019年に劇場公開され、歴史上のミステリーを大胆に解釈したことで話題となった本作。満を持しての日本上陸となります。
『バニシング』の元ネタとなった実話とは?
さて、本作のもとになった「フラナン諸島の謎」とはどのようなミステリーなのでしょうか。
事件はスコットランド沖・フラナン諸島にあるアイリーン・モア島で起きました。
そこは古くから妖精が住んでおり、侵入者を拒むという言い伝えがあった島。しかし近海は船の難所であり、航路の安全を確保するために灯台を建て保守を行っていました。
1900年の12月、近くを航行していた貨物船が、悪天候のなか島の灯台が機能していないことに気付き、不審に思います。
その10日後に定期船が島に到着してみると、灯台の光は異常がなく、手入れが行き届いた状態。ただ、そこにいるはずの3人の灯台守が忽然と姿を消していたのです。
その後の調査により、島に常備されていた道具箱や2人分のオイルスキンがなくなっていた事実が判明。このことから、灯台守が作業中に海へ流された可能性も浮上しますが、それでも3人全員が消えたことには謎が残ります。
結局、確たる証拠は見つからず。灯台守の一人が不安定な性格だったことから、彼が錯乱して他の2人を殺害したとする説や、超常現象やエイリアンが絡んでいるとの説など、憶測が憶測を呼ぶことになりました。
ちなみに、この灯台は後に自動化され、現在も付近の航路を照らし続けています。
『バニシング』のあらすじは?
舞台はスコットランド沖・フラナン諸島にある無人島。
この島に3人の灯台守たちがやって来ます。ベテランのトマス(ジェラルド・バトラー)と、気の短い大男のジェームズ、そして新米の若者ドナルドの3人です。
彼らの目的は、6週間の間この島の灯台を守ること。
はじめは穏やかな日々を送る3人でしたが、あるとき嵐が島を襲います。翌朝、3人が外に出ると、岸壁に打ち上げられた男の姿がありました。
救助を試みようとするドナルドでしたが、その男は突然目を覚まし彼に襲い掛かります。自衛のため、とっさに男を殴り殺してしまうドナルド。
男の舟に積んであった木箱を開けると、そこに入っていたのは金塊でした。驚く3人でしたが、次第にある企みを思いつきます。
それは男の死を隠蔽し、ひそかに金塊を本国へ持って帰ることでした。
しかし、彼らの計画はあっけなく中断されます。ロックとボラという男たちが島に上陸し、消えた男と金塊のありかを探し始めたのでした。
3人のついた嘘はすぐに見破られ、血なまぐさい戦いが始まります。終わってみれば、彼らの前にはロックたちの死体が転がっていました。
もはや金塊を奪う敵はいなくなったはず。しかし、罪の意識に苛まれた男たちは、互いに疑心暗鬼に陥り、破滅へと向かっていたのです。
『バニシング』のキャストは?
ここでは『バニシング』の主要キャストをご紹介します。
ジェラルド・バトラー(ジェームズ・デュカット)
Gerard Butler is a bloody mess in clip from The Vanishing https://t.co/HURMXcUdng
— Entertainment Weekly (@EW) January 2, 2019
主演を務めるジェラルド・バトラー。スコットランド出身で、大学卒業後に弁護士事務所に入った後、俳優へと転身した異色の経歴の持ち主です。
『300 〈スリーハンドレッド〉』(2007年)では主役として風格あるレオニダス王を演じました。その後も『ヒックとドラゴン』(2010年~)の声優や『エンド・オブ・ホワイトハウス』(2013年)の主演を務めるなど、幅広いジャンルで活躍しています。
ちなみに、彼は本作のプロデューサーにも名を連ねており、優れた実務家としての側面もうかがい知ることができます。
ピーター・マラン(トマス・マーシャル)
#GreatScots Peter Mullan (/ˈmʊlən/; born 2 November 1959)[1] is a Scottish actor and filmmaker. He is best known for his role in Ken Loach's My Name Is Joe (1998), for which he won Best Actor Award at 1998 Cannes Film Festival, and The Claim (2000).https://t.co/xicJyj02l9 pic.twitter.com/Ezykg5D9l5
— john baxter (@johnbax90674941) January 4, 2020
共演のピーター・マランもスコットランド出身。舞台や映画、テレビはもちろんのこと、脚本家や監督も務めるなど、マルチな才能を発揮している俳優です。
『マイ・ネーム・イズ・ジョー』(1998年)ではカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞。監督した『マグダレンの祈り』(2002年)はヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得するなど、国際的な評価も高く受けています。
コナー・スウィンデルズ(ドナルド・マッカーサー)
コナー・スウィンデルズはイギリス出身、若干20歳の新人俳優です。
長編映画は本作が初となりますが、Netflixのドラマ「セックス・エデュケーション」(2019年)に出演するなど、早くも今後の活躍が期待される俳優です。
まとめ
今回は実在の未解決ミステリーを題材にした映画『バニシング』を紹介しました。
「フラナン諸島の謎」に限らず、歴史上の未解決事件というのは想像力を掻き立てますよね。
本作もそうした動機から生まれたといえますが、予告編を観る限りではかなり大胆な視点で描かれているようです。
このミステリーにどう決着をつけるのか気になるところですが、結末はスクリーンで確かめましょう。
『バニシング』は2020年1月24日より公開予定です。お見逃しなく。
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