私たちが身を置いている社会には様々なルールがあります。
法や規範、暗黙の了解に場の空気。
そうしたルールに従って人は日常を送っているのです。
でも、もしも何かの間違いで社会の外に放り出されたら、あなたはいったい何に従って生きますか?
ここは洋上。常識など通用しない異世界の淵。
いつ死ぬかもわからない極限状態で、人は文明の衣を脱ぎ捨て裸形をさらします。
そこから始まる悲劇を描いた映画『人間の時間』。今回はこの作品のあらすじやキャストをご紹介します。
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『人間の時間』はどんな映画?
#藤井美菜 #チャン・グンソク #オダギリジョー、#キム・ギドク 監督のR18指定新作で共演
映画『Human, Space, Time and Human(原題)』が、邦題を『人間の時間』として2020年3月に公開されることが決定 https://t.co/FOsGtHRQYm
— エキサイトニュース (@ExciteJapan) December 21, 2019
『人間の時間』はキム・ギドク監督の最新作です。
キム・ギドクといえば、これまでにカンヌ、ベネチア、ベルリンの世界三大映画祭すべてで賞を獲得してきた韓国映画界の鬼才。
国際的な評価は折り紙付きで、日本でも新作が公開される度に話題となる監督です。
そんな『人間の時間』は2018年に制作され、その年のベルリン国際映画祭でプレミア上映されました。
日本では、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2019のオープニング作品として上映されています。
また、主要キャストには藤井美菜、チャン・グンソク、アン・ソンギ、オダギリジョーが名を連ねています。
韓国と日本の豪華俳優陣がキャスティングされた本作『人間の時間』。
監督のセクシャルハラスメント問題で一時は公開が危ぶまれましたが、ついに日本でも上映されることが決定しました。
『人間の時間』のあらすじは?
舞台となるのは海の上。
職業も年齢も異なる乗客たちが、かつて軍艦だったクルーズ船に乗り航海を楽しんでいました。
しかし、船はやがて異次元に迷い込んでしまいます。
パニックになる乗客たち。
みずからの生き残りをかけて、彼らは凄惨な事件を巻き起こしていくのです。
詳細なあらすじとネタバレと感想
監督はキム・ギドク。韓国映画初のアカデミー賞作品賞を受賞した人です。
キム・ギドクは観る人を選ぶ作品を作ってはいますが、韓国映画界のパイオニア的な存在です。
この本作品ですが、元軍艦が謎の空間に漂流し巻き起こっていくファンタジーとなっています。
客を乗せた退役した元軍艦が突如未知の空間へと行ってしまい、いつ戻れるかも分からず食料も限られた中、生き残りをかけて人間の醜い本性が出た数々の悲劇的な事件が起こるという話。
人間だけが持っている「理性」が、死に直面すれば「理性」の枷が外れ、人間の残酷な実態が出てくるのを本作で画かれています。
限られた空間に3人以上いた場合は必ず最後は殺し合いになるという結果や、
人間は死に直面する時は子孫を残そうという生存本能が働き精力が増大するという話がありますが、
今回も元軍艦という逃げ場のない「空間」である事からおのずと話の進み方が想像出来ました。
仮に水や食料に限りがなければ結果は違うのかもしれませんが、今回は全てにおいて限られている状況。
展開が解りやすかったです。
乗船している人は日本人のカップル、韓国人のカップル、娼婦軍団、チンピラ軍団、次期大統領候補の議員とその息子、謎の老人等々。
なかなか一艘の船にここまで多種多様な人が乗船していることはないと思いますが、そこはファンタジーとして割り切りましょう。
そして、この元軍艦の中で待ち受けているのは、ラスト近くに人間が人間を殺しその人間の肉を普通に当たり前のように食べているシーンは映画とはいえ禁断の出来事です。
これは本能のみでの究極の行動であり、それは親子も関係ないというラストも目を背けたくなる残酷シーンとして表現されています。
また本作品の肝心のキャストについては、人物像の設定や話の進め方がとても理解に苦しんでしまうものでした。
各キャストの人物像についてもメチャクチャ。
特にチャン・グンソクが演じた大物政治家の息子役。
人格が意味不明で、真面目でやさしい青年だと思っていたのに、限られた食料を人よりも多く食べるし、守ると言って最後は襲って来るしと人物性が解りませんでした。
ちなみに、日本語と韓国語で会話成立させることもファンタジーだから・・・と割り切りでしょうか。
ただ、この中でキーパーソンとなるのが、乗客、乗員たちの争いを横目に、植物の栽培とヒナの飼育に専念する謎の老人。
存在感たっぷりに演じ、この映画の中のクッションとなっています。
最後にくどいようですが、あくまでもファンタジーとして見なければ突っ込みどころ満載の映画となってしまいます。
タイトルに込められた意味とは?
『人間の時間』の原題は「Human, Space, Time and Human」。
意味深なタイトルですが、いったい何を意味するのでしょうか?
ひとつ言えることは、キム・ギドクはこの作品に宗教的な意味を含ませているということです。
そもそも、彼は『サマリア』(2004年)や『嘆きのピエタ』(2012年)などで宗教的なイメージを扱ってきました。
藤井美菜とチャン・グンソクの役名がイヴとアダムであることや、予告編での暴力やセックスの場面から推察すると、本作では人間の堕落がひとつのテーマになってくるのでしょう。
なにせキム・ギドクの映画に登場するのは、倫理に悖るような人物ばかりですからね。
ちなみに本人の言によると、こうしたキャラクターは人類が社会システムを離れ、自然へと回帰することのあらわれなのだそうです。
そう考えると『人間の時間』は「人類の時間」と言い換えられるかもしれません。
いずれにせよ、タイトルの本当の意味はスクリーンで明らかにされるはずです。
『人間の時間』のキャストは?
ここでは『人間の時間』のキャストをご紹介します。
藤井美菜(イヴ役)
主役に抜擢されたのは藤井美菜。目鼻立ちが上品でエキゾチックな女優ですよね。
1988年生まれの彼女は、早くから芸能界に入り活動してきました。
代表作に『女子ーズ』(2014年)や『デスノート Light up the NEW world』(2016年)などがあります。
また、2012年頃からは韓国での活動を開始。
人気バラエティー番組『私たち結婚しました』に出演したことで、一気に知名度を上げました。
大学から学んでいたという韓国語も上達し、いまや韓国でも大人気の女優となっています。
チャン・グンソク(アダム役)
議員の息子、アダムを演じるのはチャン・グンソク。
言わずと知れた韓流スターで、日本でも「グンちゃん」の愛称で親しまれています。
『美男ですね』(2009年)や『メリは外泊中』(2010年)など様々なドラマに出演してきました。
そんな彼ですが、2019年現在は兵役のため芸能活動を休止しています。
2020年には復帰するといわれているので、その日を心待ちにしているファンも多いはず。
一足先に、スクリーンでグンちゃんと会えますね!
アン・ソンギ(老人役)
【インタビュー】「使者」アン・ソンギ“怖い映画は苦手…他の作品と比べたかったが見れなかった”https://t.co/hp2qxUkjIr pic.twitter.com/zyAQEw4kZF
— Kstyle (@Kstyle_news) September 15, 2019
謎の老人を演じるのはアン・ソンギ。
穏やかな相貌が魅力的で、韓国映画界を代表する俳優と言っても過言ではありません。
『シルミド』(2003年)や『墨攻』(2006年)をはじめ、その出演作は150本以上にのぼります。
オダギリジョー(イヴの恋人役)
「文字盤の隙間とか、裏側から見える機械が芸術的」── 独自の美意識をもつ俳優・オダギリジョーが「タグ・ホイヤー カレラ」の魅力を語った。
記事と写真→ https://t.co/r2CxpMDLI1#オダギリジョー#TAGHeuerCarrera pic.twitter.com/lRQERCiD9a— GQ JAPAN (@GQJAPAN) December 18, 2019
イヴの伴侶を演じるのはオダギリ・ジョー。
セクシーな容貌と確かな演技力を兼ね備えた俳優です。
代表作に『アカルイミライ』(2003年)『メゾン・ド・ヒミコ』(2005年)『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』(2007年)などがあります。
海外の映画にも多く出演し、最近では『ある船頭の話』(2019年)で映画監督デビューも果たしました。
もはや国際的な映画人として認知されつつあります。
キム・ギドク監督とは『悲夢』(2008年)の主演を務めたことがきっかけで親交を深め、今回の友情出演につながりました。
ミステリアスな役柄は彼の真骨頂。いったいどのような演技を見せてくれるのでしょうか。
まとめ
今回はキム・ギドク監督の最新作『人間の時間』をご紹介しました。
独創的な作風で知られるキム・ギドクですから、きっと予想の斜め上をいく展開が待っているはずです。
藤井美菜やチャン・グンソクなど、豪華俳優陣の演技も期待できますよね。
そんな『人間の時間』ですが、日本での公開は2020年3月を予定しています。
お見逃しなく。
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