夫婦を殺し終身刑になった男・・・男はなぜ自分が殺人を犯したか、自問します。
そして、気が付けば小さい時から暴力と隣り合わせの世界で生きていた事に気づきます。
『オールデイ・アンド・ア・ナイト 終身刑となった僕』は、暴力と隣り合わせの世界で生きていた男の過去・現在・未来の苦悩が描かれています。
どこかで道を外してしまった?!
必死にまともに生きようとしても、どこかで何かが狂ってしまった・・・道を外れた。
主人公のジャコールは、小さいときから父親に暴力を振るわれエスカレートする家庭内暴力に浸食されていきます。
そして、青年になってからも暴力の世界に身を投じ、いつしか犯罪を繰り返していく男になりました。
しかし愛する女性との出合いから真っ当に働き、未来の家族を養う準備をはじめてもまたもや暴力の世界へと引き込まれるのでした。
本作は「必死で道を間違え続けた」という男の苦しみが、切なく伝わってくる作品です。
あらすじ
終身刑で服役中の男は、なるべくして犯罪者になってしまった自分の人生に思いをはせます・・・少年時代の僕から、刑務所に入っている僕までを。
少年時代の僕
ジャコールは、小さいときから麻薬中毒で短気な父親に日常茶飯事的に暴力を受け、家庭内暴力に満ちた環境で育ちました。
外で遊んでいるとき同じ境遇の子供たちと仲良しになりグループを組み、少年たちはイジメられていた年上の奴らにも仕返しをしながらジャコール自身も暴力の世界に身を投じるようになっていきました。
青年時代の僕
青年になっても暴力のルールに従い縄張り争いを繰り返したり、銃を突きつけながら金目のものを奪う人間になりました。
仲間もギャングに殺されたり、嫌気がさし足を洗おうとしてもなかなかチャンスを掴めません。愛する女性を見つけ子供ができても、全く仕事に就けない日々が続きます。
そんなある日、友人の夫婦を殺し終身刑で刑務所に収容されました。
ネタバレ
そして、刑務所に入った僕は終身刑を言い渡され、なぜ自分はなるべくして犯罪者になったのだろうかと過去を振りかえりながら昔を思い出すのでした。
自分は父親からの暴力を背負った歴史と闇を受け継いでしまっている事も原因であると、悩んでいます。
警察に捕まった時も白人警官から「父親の遺伝か?」と聞かれたときは、父親に対する劣等感がどんどん増幅していくのでした。
ジャコールは父親から暴力を受けながら育ち憎むべきいやな相手であっても、母が父親を捨て他の男と仲良くしているのを見て激昂し、その男を殴りつける事もありました。
友人を射殺したのも父親にクスリを売っていた売人が、若いときの友人だったという事がわかりその憎しみから、射殺したことが判明します。
ラストでは、そんな父親との因縁にも向き会うことになり静かな決着を迎える事になるのでした。
本作は、アフリカ系アメリカ人の差別扱いや、黒人コミュニティの ”生きづらさ” などのリアルな社会の現実を描いています。
キャスト
主演は、『ムーンライト』のシャロン役で一気にブレイクし、その後も『イコライザー2』とさまざまなジャンル作品に出演が相次ぐアシュトン・サンダース。
アシュトン・サンダースは、カリフォルニア出身のアフリカ系アメリカ人の俳優で、ロサンゼルス演劇学校を卒業後は数々の映画に出演しましたが、アカデミー賞作品賞受賞作の『ムーンライト』で強い印象を残し、一躍有名スターとなりました。
ルールに縛られない自己表現を得意とする、注目の若手スターです。
他には、ドラマ『ウエストワールド』でおなじみの“ジェフリー・ライト”、『アクアマン』でイカした悪役を熱演していた“ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世”、ドラマ『スノーフォール』で活躍している“アイザイア・ジョン”など、魅力的なスターが顔を揃えています。
アシュトン・サンダースの演技評価
毎年年末に開催される、米タイム誌の恒例企画「Top 10 Everything 」は、同年に公開された映画に出演した俳優による演技トップ10が発表されます。
2016年の「Top 10 Everything of 2016」の第1位には、「ムーンライト」のアレックス・ヒバート、アシュトン・サンダース、トレバンティ・ローズの3人が選出されました。
「ムーンライト」は、自らの居場所を探し求めるゲイの黒人男性の成長を描いた秀作で、3人の出演者の素晴らしい演技が同等に評価されたといえます。
最新作のSF映画『囚われた国家』では、エイリアンによって管理・支配された社会を舞台に、アシュトン・サンダースは重要な役割を果たす青年役を演じています。
まとめ
終身刑となった僕は、なぜ犯罪者になったのだろうか?
男は、気がつけば小さいときから暴力と隣り合わせの世界で生きてきた事を思い出すのでした・・・。
『オールデイ・アンド・ア・ナイト 終身刑となった僕』はNetflixオリジナル作品として2020年5月1日から配信中です。
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