アルフレッド・ヒッチコック監督の「サイコ」(1960)や、「ファイト・クラブ」(1999)「シャッターアイランド」(2010)等、古今東西、多重人格を取り扱った映画は数多くあります。
しかし、この映画程、数多くの人格を体内に宿した登場人物が出てくる映画はないのでは???
というわけで、今回は、映画「スプリット」について話して行きたいと思います。
203スプリット pic.twitter.com/Doe2H3CxUk
— 映画 (@yRDZ5ACYc72gJaU) May 3, 2020
この映画は、M・ナイト・シャマランが監督したサスペンス映画です。
日本語に訳すと、「分裂」という意味の通り、この映画は、多重人格者の男を中心として話が展開していきます。
その人格の数、なんと、23!!!
加えて、新たに一つの人格を形成中・・・笑笑
早速、ストーリーをネタバレしていきたいと思います。
Contents
スプリット ネタバレ
同級生のクレア・ブノワの誕生パーティに招待された孤独な女子高生ケイシー・クック。
クレアの父が車で送ってくれた帰り道に、同級生と共に誘拐されます。
誘拐されたのは、ケイシーの他、クレア、そして同じく誕生パーティに招待されていたマルシアです。
誘拐した男ケビンは、監禁室から、マルシアをどこかへ連れ去ろうとしました。
その時、ケイシーは、ケビンが潔癖症であることに気が付き、咄嗟の機転で、マルシアに失禁するよう指示し、マルシアを救い出すことに成功します。
その後、ケビンが多重人格者であることに気づいたケイシーは脱出を試みようとします。
ケビンは、幼少期に母親からの虐待により、DID(乖離性同一障害)患者になり、彼の中には23の人格があります。
おかまっぽい洋風デザイナーで社交的なバリー、女性のパトリシア、神経質で極度の潔癖症であるデニス、9歳のヘドウィグ等です。
ケビンの身体はバリーが支配しています。(主人格の事をケビンの人格たちは、「照明(ライト)」と表現している。)
バリーは、多重人格者というハンデを背負いながらも、10年間デザイナーとして会社に勤務しています。
そのように頑張っているケビンに対して、主治医で精神科医のカレン・フレッチャー博士は協力的でした。
また、フレッチャー博士は、多重人格者が持つ、潜在能力について、高く評価しています。
ある日、フレッチャー博士は、バリーから至急会いたいとの連絡をもらい、会いに行きます。
普段、フレッチャー博士と話すとき、「ライト」であるバリーが対応しているのですが、徐々にバリー、パトリシア、ヘドウィグ3つ人格に「ライト」の座を奪われつつあります。
しかし、フレッチャー博士はその事にまだ気づけていませんでした。
また、今回の誘拐事件は、デニス、パトリシア、ヘドウィグの3人が計画した事件であるようです。
ヘドウィグをそそのかし、情報を得ることに成功したケイシーたちは、脱出を試みるも、失敗し、3人はそれぞれ別室に監禁されることになります。
その後、ケイシーはヘドウィグを利用し、トランシーバーを手に入れ、助けを求めました。
しかし、失敗し、パトリシアに囚われてしまいます。
ケビンの人格たちは、24番目の人格である「ビースト」について、たびたびケイシー達に言及します。
ビーストは超人的な力や回復力を持っています。
彼女たちは、ビーストの生贄にするために、誘拐されたそうです。
フレッチャー博士はケビンと話をしています。
しかし、目の前で話しているケビンの行動に違和感を覚えます。
そこで、バリーとして博士に接しているケビンは、バリーではなくデニスである。またバリーは博士に助けを求めていると考えます。
しかし、バリーを名乗る人格は、頑なに自身はバリーであると主張します。
博士は彼の弱点を知っています。それは、彼の本名、「ケビン・ウェンデル・クラム」をフルネームで呼べば、いつでもケビンの人格に戻せるというものです。
しかし、それは、多重人格者のプライドを傷つけ、博士とケビンの絆を立つものである為、使いたくないというのが博士の考えです。
博士は、説得の末、本名を呼ぶという手段を使わずに、彼がデニスであることを白状させます。
デニスは、博士にビーストの出現を望んでいる事と、ビーストは近いうちに誕生することを伝えます。
しかし、博士はビーストの存在を信じていない様子です。
先の面談の後、しばらくして、博士の元に、バリーから「すぐに来てくれ」との旨のメールが20件届いていました。
急遽駆け付けた博士を迎えたのはデニスでした。
「ビーストを迎えに行く」とデニスは博士に伝えます。
ビーストの存在を否定した博士は、彼からトイレを借ります。
トイレを借りる為、廊下を歩いていた博士は、ある部屋から、気配を感じた為、その部屋のドアを開けます。
すると、中から、ニュースで報道されていた少女が・・・
博士は驚きます。
直後、博士もデニスにより、昏倒させられます。
再度、デニスは、再度、ケイシーを監禁部屋に閉じこめ、施錠しますが、ケイシーは何とか部屋のカギを開け、他の部屋の鍵を含む、鍵の束を入手します。
一方、デニスは、ビーストの意識を出現させることに成功します。
ビーストは、博士を絞め殺します。
しかし、博士は死の間際、ケビンの本名を書いたメモを書き残しておきました。(ケビンの本名を唱えると、ケビンの人格に戻る)
部屋を脱出したケイシーは、マルシアの死体と、ビーストに襲われているクレアを発見しました。
また、ケイシーは、博士の死骸と、「ケビン・ウエンデル・クラム」と書かれたメモを発見します。
ビーストから逃げようとケイシーは試みましたが、ビーストに見つかってしまいます。
そこで、ケイシーは、「ケビン・ウエンデル・クラム」と唱えることで、ケビンの人格に戻すことに成功します。
しかし、ケビンは、ケイシーにショットガンで自身を殺してくれとお願いをした後、再度ビーストの人格に戻ってしまいます。
しかも、今回は、ケビンの本名を唱えても、ケビンの人格に戻すことは出来ません。
ケイシーはショットガンを使い、ビーストに抵抗しますが、成す術もありません。
ビーストに襲いかかった瞬間、ビーストは、ケイシーの体に様々な傷跡を発見します。
実は、ケイシーは、2人暮らしの叔父から性的なものを含めた虐待を受けていました。
“ビースト”の殺害対象は、今まで悩んだことのない(親から保護されている)不道徳な者です。
その為、日ごろ虐待を受けていたケイシーは殺害対象ではないとみなし、そのまま、立ち去ります。
その後、仕事にやってきた職員にケイシーは保護され、監禁場所が、フィラデルフィア動物園の古い管理棟の地下であるということを知ります。
その後、警察に保護された彼女は、警官から叔父と帰宅する準備ができていると伝えられますが、叔父の元に帰ろうとしないケイシーの様子を見て、警官は異変に気付きます。
その頃、ビーストは他の人格とビーストの強さを世界に知らしめる計画を企てていました。
とある食堂で、ニュースを見ていた女性が、15年前にあった車椅子に乗った男がおこした事件と似ているとの旨の発言をします。
しかし、その事件の犯人の名前を思い出せない様子。
その女性の隣に座っていた男が応えます。
その男の名は、「Mr.ガラス」だと・・・
(この男性の名はデイビット・ダン。彼は、映画「アンブレイカブル」(2001)の主人公で、Mr.ガラスはその映画に出てきた登場人物。つまり、この映画は、「アンブレイカブル」の続編だったのです。)
スプリット 解説
ケビンがDID(乖離性同一障害)患者になった原因は・・・
母親から、虐待に近い教育を受けていた事が原因だと劇中では説明されていました。
幼少期のつらい現実から逃れる為に、ほかの人格を形成するということは、現実でもあるみたいです。
彼のモデルであるビリー・ミリガン(後述)も養父からの虐待で24の人格を形成しています。
ビーストがケイシーを殺さなかった理由は・・・
ビーストの殺害対象は、親から保護されている等により、今まで悩んだことがない等の不道徳な者です。
ケビンの人格は、苦労を知る人間は仲間との共通の認識があります。
ケビン同様、叔父から虐待されている為、苦労を知る仲間であると判断されたのでしょう。
その為、助かりました。
一方、クレア、マルシアは、親から保護され、何不自由なく生活できていた為、不道徳な者。つまり、ビーストの敵であると判断されて殺されました。
最後に登場した男は誰?
この男性の名はデイビット・ダン。
彼は、映画「アンブレイカブル」(2001)の主人公で、超人的な肉体、治癒力に加え、悪を感知する能力を持つ男です。
おうち時間の #おすすめ映画 その18「アンブレイカブル」シリーズ
シックスセンスでお馴染みシャマラン監督が手がけるスーパーヒーロー映画。ふつうヒーロー物に求められる派手さが無いためか、世間的に評価が低いのが残念。コミックの世界観を映像で表現する、配色やカメラワークのこだわり。 pic.twitter.com/LVPPNSnAIn
— まっちゃん (@MATAMATAMACHAN) May 2, 2020
また、彼が言及していた「MR.ガラス」とは、「アンブレイカブル」に出てきた登場人物の一人です。
Mr.ガラスは、些細なことでも骨折してしまう骨形成不全症という難病を持っており、生涯で、94回骨折していますが、非凡なIQの持ち主です。
また、「アンブレイカブル」内において、Mr.ガラスは、列車の脱線事故を起こしています。
スプリット 考察
ケビンの父親の列車事故について、
ケビンの父親は、列車の脱線事故により死亡しています。
もしかしたら、「MR.ガラス」が起こした列車の脱線事故でケビンの父親が死んだのかもしれません。
監禁部屋について
ケーシーたちの監禁されていた場所についてですが、ケビンの精神状態について隠喩しているのではと推測しました。
ケビンは、幼少期の虐待から身を守るように22の人格を作りました。
つまり、ケビンという元の人格を守る為、バリー等他の人格が生み出されたのです。
監禁されていた部屋の壁は、石壁やダクトがむき出しの壁等統一されていませんでした。
即ち、部屋(ケビンの精神)を石壁等の様々な壁(その他の人格)で覆うことにより、部屋(ケビンの精神)を守っていると考えられます。
24の人格を持つ人は実在したの?
そんな人、この世に実在しないだろう。そう思う方は大勢いると思います。
私自身もこのブログを書くまで、実在しないと思っていました。
しかし、実在しました!!!
それがこの男性
ビリー・ミリガンさん
彼は、ケビンと同じ様に、24の人格を宿しています。
彼が、22歳の時、強盗強姦容疑で逮捕されました。
精神鑑定の結果、彼の中には知能、年齢の異なる24の人格があることが明らかになりました。
知能の高く、合理主義者のアーサー、情に厚い乱暴者レイゲン、喧嘩好きなトミー、芸術と煙草が好きなアレン、レズビアンの女性アダラナ、泣き虫なディヴィッド等です。
ビリーの脳内で、スポットと呼ばれる一点を中心に各人格が立っており、スポットに立つ人格が意識を持つそうです。
危険な場所ではない所では、アーサーがどの人格が、スポットに立つかを判断し、刑務所や、検察等ビリーにとって危険な場所では、レイゲンがどの人格をスポットに立たせるか判断するそうです。
スプリット キャスト一覧
ジェームズ・マカヴォイさん
1974年スコットランド グラスゴー生まれ。
本作ではスキンヘッドでしたが、普段は、髪の毛ふさふさのイケメンなんですね。
本役の他、Xmenシリーズや、「ウォンテッド」(2007)という映画にも出演しています。
ちなみに、こちらがスプリットの時のマカヴォイさん
マガフォイさんが演じた役で、私が興味を持ったのは、Xmenシリーズでの役です。
アメリカンコミックスを原作とした本映画は、超能力を持った人がヒーロー集団(Xmen)及びヒーロー養成学校を編成し、悪の集団と戦うと事をコンセプトとしています。
そこで、マガフォイさんは、Xmenのメンバーを率いるプロフェッサーXという役を演じています。
同じくスキンヘッド!!
これはややこしい。しかもプロフェッサーXも超能力者!!
しかし、戦闘方法は全く異なります。ビーストは、最前線で戦う肉体派であるのにに対し、プロフェッサーXは後方支援を得意とする策略家です。
それでも、ややこしいです。
アニャ・テイラー=ジョイさん
1996年アメリカ マイアミ生まれ。
本作と、続編「ミスター・カラス」に、ケーシー役で出演し、英国アカデミー賞 ライジング・スター賞にノミネートされています。
また、絶叫クイーンと呼ばれているそうです。
今後もまだまだ叫んでほしい女優です。
まとめ
この映画が、「アンブレイカブル」の続編であるということに、最後の最後まで明かされません。
今作と、「アンブレイカブル」、「Mrガラス」(2018)の3部作構成になっています。
この3部作は、サスペンス映画としてだけではなく、超人たちのヒーロー映画としても見る事が出来ます。
個人的には、ビーストが人を襲っている場面で、「Xmen」シリーズのプロフェッサーX(同じくジェームズ・マガフォイさんが演じる)が出てきて戦ってほしい。
・・・って、どっちが味方でどっちが悪か、分かりづらいわ!!!
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