母親からの虐待を受けながらも愛を求め続け、若くして女装の男娼として生きた過去を綴ったJTリロイによる自叙伝「サラ、神に背いた少年」は2000年に発表されました。
過激な内容と、当時18歳の謎の少年作家という神秘性が話題になり、多くの著名人も注目していました。
しかし、2006年にJTリロイは実在しないという暴露記事が発表されます。
実はJTリロイは架空の人物であり、実際の作家はローラ・アルバートという女性作家だったのです。
今回ご紹介する映画『ふたりのJTリロイ ベストセラー作家の裏の裏』は、JTリロイによる捏造が露見するまでの6年間を描いた作品です。
Contents
『ふたりのJTリロイ』の原作・元ネタ
本作の原作となるのはローラ・アルバートの義理の妹サバンナ・クヌープが発表した自叙伝「Girl Boy Girl: How I Beceme JT Leroy」です。
実は真実が露呈するまでの間、公式の場でJTリロイとして表に立っていたのがサバンナ・クヌープでした。
映画のタイトルでもある『ふたりのJTリロイ』とはJTリロイを名乗った作家のローラ・アルバートとJTリロイを演じたサバンナ・クヌープからきていることがわかりますね!
JTリロイが架空の人物であることが暴露されたのちに、サバンナは当時を綴った「Girl Boy Girl: How I Beceme JT Leroy」を発表しています。
また本作とは別に2017年に、ローラ・アルバートの立場に立ったドキュメンタリー映画『作家、本当のJTリロイ』が公開されています。
あらすじ・ネタバレ
ローラ・アルバートは、JTリロイというペンネームで「サラ、神に背いた少年」を執筆し、実体験に基づく小説として発表しました。
幼い少年が虐待を受けながら女装の男娼になるという過酷な内容で、多くの人から支持されベストセラーとなります。
2作目の小説「サラ、いつわりの祈り」は映画化され、JTリロイの神秘性もあいまってより多くの人の心を奪っていきました。
ある日マスメディアから顔出しの取材依頼を受けますが、JTリロイは架空の人物です。顔出しなどできるわけがありません。
そこでローラは恋人の妹サバンナ・クヌープに金髪のウィッグとサングラスで変装させてJTリロイを演じてもらうことにしました。
ローラ自身はJTリロイのマネージャーとして取材に同席します。
ローラに言われるがまま、JTリロイを演じ続けるサバンナ。
JTリロイとして注目を集め、それに嫉妬してやがて敵意を抱くローラ。
ニューヨークタイムズによって”JTリロイ”の存在が嘘だと暴露されるまでの数年間を、サバンナの目線で描いた作品です。
”ふたりのJTリロイ”の間にいったいどんな関係が築かれ、ふたりはどんな思いでいたのか。
全米を騙し続けたその裏側がどんなものなのか、楽しみですね!
見た方の感想とあらすじ
ローラはテレフォンセックスの仕事で演技力、想像力を発揮してリロイとしてセレブ達と電話で交流してました。
ジェフを介して知り合ったサヴァンナは若く忠誠的であり、ローラはすぐ彼女にリロイ演じてもらうこと思いついたのです。
金髪のウィッグ、大きなサングラスで男装して写真を撮るだけで50ドルです。サヴァンナはローラからそう持ち掛けられ小遣い稼ぎで軽く引き受けたのです。
ですが、ローラのたのみは一度だけでは終わらないです。次はプロ写真家の撮影が待っていて、ローラは英国人マネージャーのスピーディというキャラになりすましやり遂げることできました。
その後サヴァンナはダイナーあのウエイトレスをして、恋人ショーンと順調に交際を楽しんでます。
ローラに操られることに疲れたサヴァンナはj・t・リロイ演じること一度は辞めたのですが、エヴァを忘れることができません。
結局ローラと音楽担当予定のアスターを名乗るジェフ3人でテネシー州の映画撮影現場に行きます。
ですが、エヴァのそばにいつも男性の友人であるベンがいて、さらに彼はアスターが担当するはずの曲をつくってます。
エヴァの裏切りに気付いたサヴァンナですが、今度は本当にリロイをやめる決心をしたのです。
ですが、運悪くサヴァンナの仕事中ロスで取材受けたと記者と遭遇しました。
リロイは女性ではないのか?といったうわさが広まってしまいみます。
一方でエヴァの映画製作は順調でカンヌ国際映画祭で上映されること決まりました。
そこでローラはサヴァンナへ連絡します。
エヴァの気持ちどうしてもチェックしたいサヴァンナはこれ断れません。
ふたたびカンヌで顔合わせたエヴァ、サヴァンナですが、華やかなムードに反してエヴァの態度は冷淡です。
ショック受け混乱したサヴァンナですが、ローラのアドバイスで思いを告白のためエヴァを呼び出します。
一方でエヴァは疑惑のせいでいら立って一夜共に過ごしたことを酔った勢いだったと吐き捨てます。
エヴァも映画の役勝ち取るの必死です。
さらに追い打ちかけるようリロイの正体暴露する記事出回ったのです。
そこはローラの正体暴かれてしまいます。
わたしたち終わり、ローラはそうサヴァンナに告げるのです。
それから数年して新書の出版イベントを開くローラの姿ありました。
自分から離れることにより自分になろうとしてた当時を振り返ってローラは語ります。
イベント終わって参加してたサヴァンナが声かけてきます。
ニューヨークへ行くことになった、そういうサヴァンナは晴れやかな表情でした。
キャスト
ローラ・ダーン/ローラ・アルバート役
1967年2月10日生まれの52歳。アメリカの俳優。
父はブルース・ダーン、母はダイアン・ラッドとハリウッドの俳優一家の生まれです。
デヴィッド・リンチ監督作品の常連で『ブルーベルベット』、『ワイルド・アット・ハート』などのほかにも、
『ジュラシック・パーク』人気シリーズや『スター・ウォーズ最後のジェダイ』など数多くの話題作に出演しています。
名優を両親に持ち、ローラ自身も実力派の俳優として知られる存在になりました。
本作では作家のローラ・アルバートを演じています。
クリステン・スチュワート/サバンナ・クヌープ(JTリロイ)
1990年4月9日生まれの29歳。アメリカ出身の俳優です。
2002年の映画『パニック・ルーム』でジョディ・フォスターの娘役を演じて注目され、『トワイライト』シリーズで大ヒット。トップスターの仲間入りを果たしました。
これから公開予定のリブート版『チャーリーズエンジェル』にも出演しています。
両性愛であることを告白しており、スーパーモデルのステラ・マックスウェルと交際が報じられるなどプライベートも話題になり、自分を貫く生き方が若い世代に支持されています。
本作ではJTリロイに扮するサバンナ・クヌープを演じます。
中性的で美少年にも見えるミステリアスな雰囲気を持っていて適任だと思います。
ダイアン・クルーガー/エヴァ役
1976年7月15日生まれの43歳。ドイツ出身の俳優です。
複数の映画に出演したのち、2004年に映画『トロイ』、『ナショナル・トレジャー』に出演しハリウッド進出します。
『イングロリアス・バスターズ』、『女は二度決断する』などでは女優賞ノミネート&受賞をするなど、名実ともにスターと呼ぶにふさわしい活躍をしています。
モデルとしてのキャリアもあるため、センスもスタイルもよくすらっとした美人です。
本作ではJTリロイと親密な関係になる女性エヴァを演じています。
原作に登場しないオリジナルのキャラクターですが、JTリロイを崇拝していた実在の俳優アーシア・アルジェントがモデルになっています。
アーシアはJTリロイが嘘だとわかったときに腹を立て、以降サバンナとの関係は悪化したのだそうです。
ローラ・アルバートのその後
元々作家志望で、男性同士の恋愛をテーマに小説を執筆していました。
夫(当時恋人)のジェフリー・クヌープのアイディアをもとに”JTリロイ”という架空の少年の自伝と偽って小説を執筆しました。
先述の通りこれがヒットし、マドンナやウィノナ・ライダーといった有名人からも支持されるほどのベストセラーになりました。
2004年には映画化もされ、サバンナの協力もあってローラは莫大な収入を得ました。
しかし、JTリロイの存在を疑った記者によって事実を突き止められてしまい、2006年にはニューヨークタイムズで捏造が発表されてしまいます。
全米を騙し続けた偽りの少年作家JTリロイの伝説はこれによって崩壊します。
ローラは詐欺だとして訴えられるも、最終的には和解が成立し、罪に問われることはありませんでした。
その後仕事のパートナーでもあったサバンナによって、本作の原作でもあり暴露的自叙伝である「Girl Boy Girl: How I Beceme JT Leroy」を発表され、2人の関係は悪化してしまったそうです。
当時はファンやメディアからの批判も多く、立ち直るのに時間がかかったと言います。
後にローラは「(JTリロイとしての執筆を)自分自身の傷を癒すような作業だった」「ゲイの美少年に憧れていた」と語っており、現在は本名で執筆を続けています。
なお本作はサバンナの視点によって描かれているためか、ローラ自身は否定的な感想を持ったそうです。どうやら2人の関係は改善されていなそうですね……。
しかし現在も執筆を続けているとのこと、真実を知っても支持しているファンにとっては喜ばしい限りですよね。
小説がヒットした暁には、日本語翻訳されて私たちも再び彼女の作品を読める日が来るかもしれません。
ちなみに真実露呈後、イベントで来日したこともあります。
まとめ
現実と架空が入り交じった”ふたりのJTリロイ”を描いた『ふたりのJTリロイ ベストセラー作家の裏の裏』は、JTリロイを演じたサバンナ・クヌープによる自叙伝を元にした映画です。
偽り続けたふたりのJTリロイの思いや、サバンナとエヴァとの関係がこの奇妙で衝撃的なスキャンダルに厚みを持たせてくれるに違いありません。
実力派俳優たちの共演も見逃せませんね!
JTリロイの捏造が明らかになるまでのおよそ6年間を描いた本作は、2020年2月14日公開です!
コメントを残す