イスラエルとパレスチナ間の緊張をコメディタッチで描いた作品『テルアビブ・オン・ファイア』
11月22日より新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて全国順次公開されることが決定しました!
第31回東京国際映画祭のコンペティション部門で上映された本作。
世界の映画祭にも出品されており、高い評価を得ています。
今回はそんな『テルアビブ・オン・ファイア』がいったいどんな作品なのか、ご紹介します!
Contents
『テルアビブ・オン・ファイア』ってどんな映画?
監督・脚本は、映画『歌声にのった少年』で脚本を務めたサメフ・ゾアビ。
本作は、第75回ヴェネチア国際映画祭作品賞や第45回シアトル国際映画祭作品賞などを受賞しています。
監督自身がイスラエルに住むパレスチナ人であり、イスラエル人との共存の中で日々感じる闘争から、本作の主人公サラームが生まれたといいます。
本来、笑いの対象とはほど遠いパレスチナ問題を、あえてコメディとして描写することで両国のシリアスな問題を違った角度から広めることができるという監督の考えが作品に反映されています。
あらすじ・ネタバレ
エルサレムに住むパレスチナ人の青年サラームは、第3次中東戦争時代を舞台にした人気のメロドラマ「テルアビブ・オン・ファイア」の製作現場でアシスタントとして働いています。
撮影所に行くには、毎日イスラエル検問所を通る必要があります。
ある日、サラームは検問所で要らぬ発言をしてしまったことで呼び止められてしまいます。
そして軍司令官のアッシにドラマの脚本家だととっさに嘘をついてしまいます。
アッシはドラマの大ファンである妻に自慢するため、毎日サラームを呼び止めては脚本に対して強引に独自のアイディアを出してきます。
サラームは制作現場でそのアイディアを提案したところ、それを認められて正式な脚本家に出世します。
しかしサラームは脚本など書くことができません。アッシのアドバイスをもとにドラマの脚本を制作していきます。
ドラマが終盤に近付くと、その結末をめぐってサラームは窮地に立たされます。
イスラエル側を良く見せたいアッシと、パレスチナ側のドラマ制作陣の板挟みになり、製作現場も右往左往の騒ぎに!
果たしてサラームは人気ドラマをどう終わらせるのか……。
本作は、笑撃的で予想外なエンディングを迎えることになります!
そして平和について考えるきっかけをくれる作品でもあります。
海外の評判・評価
本作はヴェネチア、トロント、ロカルノなど世界各国の映画祭で上映され、第75回ヴェネチア国際映画祭作品賞と第45回シアトル国際映画祭作品賞などを受賞、アカデミー賞長編映画賞ルクセンブルク代表になるなど、高い評価を得ています。
世界の映画祭で喝采を浴び、満を持しての日本公開と言っても過言ではありません。
この反響の大きさに、監督も「コメディは万国共通」だと感じたそう。
実際のところはかなり複雑なパレスチナ問題ですが、主人公を頼りなく知識もやや乏しい青年サラームにしたことで、彼の目線から映画の世界に入りやすくなっており
詳しい事情が分からなくてとっつきやすく、考えるきっかけを与えてくれます。
民族間の対立を描きつつも、こうした工夫がこの高い評判に繋がっているのかもしれませんね。
キャスト一覧
カイス・ナシェフ/サラーム
1978年6月12日生まれ、イスラエル出身のパレスチナ人俳優です。
2005年、ゴールデン・グローブ外国語映画賞を受賞した『パラダイス・ナウ』で、自爆攻撃の実行者に指名された青年を演じ、話題になります。
本作では、主人公の冴えない青年脚本家サラームを演じ、ヴェネチア国際映画祭のInterFilm部門で主演男優賞を受賞しています。
ヤニブ・ビトン/アッシ
1978年7月1日生まれ、イスラエル出身の俳優です。
テレビドラマを中心に活躍する俳優で、本作では軍司令官のアッシを演じ、強引で鬱陶しくもどこか魅力的な演技を見せてくれます。
本作の脚本に惹かれ、出演を決めたと言います。
ナディム・サワラ/バッサム
1935年9月9日、ヨルダン出身の俳優です。
1973年『ウィークエンド・ラブ』や、1998年のユマ・サーマン主演の映画『アベンジャーズ』(MCUではない作品です)など、多くの作品に出演しているベテラン俳優です。
本作では劇中ドラマのプロデューサー・バッサムを演じています。
ルブナ・アザバル/タラ
1973年8月15日生まれ。ベルギーの俳優です。
主演のカイス・ナシェフとは『パラダイス・ナウ』で共演しています。
主な出演作として2010年の映画『灼熱の魂』などがあります。
本作では、劇中ドラマに出演する女優タラ役で出演しています。
まとめ
パレスチナ問題を、大胆にもコメディタッチで描いた映画『テルアビブ・オン・ファイア』。
何気ないやり取りや劇中ドラマの展開から、笑わせながらイスラエルとパレスチナの関係性を見せてくれる本作は、イスラエル映画の傑作と評価されています。
多くの映画祭で評価され、ついに11月22日全国順次公開となります!
期待して待ちましょう!!
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