2010年に公開され、幾重にも張り巡らされた伏線と難解な謎が話題になったミステリー映画『シャッターアイランド』
キャストの豪華さも魅力ですが、謎が謎を呼ぶ展開と衝撃的なエンディングが何よりも素晴らしい作品ですよね。
実はこの映画、様々な解釈の余地があるのですが大きく「陰謀説」と「患者説」というふたつの捉え方ができると鑑賞した人たちの間で話題になっているのです!
しかもありえないような、でもどこかリアリティを感じさせるようなストーリーに実話ではないかという意見も……。
今回はこの『シャッターアイランド』の解釈についてなど鑑賞した人たちが気になるであろうネタをご紹介しますね!
全体的にネタバレありなので鑑賞前の方はご注意くださいね。
何度みても楽しめる作品なので、これを読んだあとにふたたび『シャッターアイランド』をみることで新たな視点で楽しめるかも!
Contents
映画『シャッターアイランド』のおおまかなあらすじ
連邦保安官のテディ・ダニエルズとその相棒チャック・オールはボストンハーバーの孤島にあるアッシュクリフ精神病院へ訪れます。
3人の子供を殺した女性患者レイチェル・ソランドーが「4の法則。67番目は誰?」という謎のメッセージを残して行方不明となったのです。
テディは自分たちと入れ違いのタイミングで島を出たというレイチェルの担当医、シーアン医師を疑って調査をしますが…
じつはテディがこの島にやってきた目的は、レイチェルの捜索以外にかつてテディと妻ドロレスが住んでいたアパートに放火しド
ロレスを死なせた犯人アンドリュー・レディスを探すためでもありました。
しかしアンドリュー・レディスの情報はなかなか掴めず、患者も一様に同じ回答しかしないため、テディは不信感を持ちます。
そんな中この島で、脳の前頭葉を切除し凶暴性を抑えるという残酷な「ロボトミー手術」が行われているという情報を得ます。
結末とふたつの説
繰り返しになりますが、この『シャッターアイランド』は大きく2つの解釈ができます。
「患者説」と「陰謀説」です。
どちらの解釈をするかによって伏線や登場人物のセリフの意味合いなども変わってきますのでそれぞれの説についてまとめてみました。
「患者説」の解釈
文字通りテディが患者だったとする説です。つまり、医者たちの行動はすべて彼を治療するためのロールプレイだったとする説です。
劇中で明かされる話をそのまま素直に受け止めた場合、この「患者説」もしくはそれに近い解釈になるのではないかと思います。
冒頭か病院側は行方不明患者の捜索に来ているはずの連邦保安官であるテディに対してかなり警戒している様子がわかります。
また保安官の相棒であるチャックがその病院に対して協力的な姿勢を見せていたり銃の扱いが下手な描写があるのも、彼もまた病院側(治療を行う側)の人間だからと考えればつじつまが合いますよね。
テディに対して患者が興味深そうに見ていたり手を振っている場面もありますが、これもまた同じ患者として面識があるからと受け取ることができます。
ソランドーが残したメッセージ「4の法則。67番目は誰?」という暗号は4人の人物の名前のアナグラムであることが劇中で説明されます。
名前のアルファベットを入れ替えると、テディはアンドリュー・レディス、ドロレスはレイチェル・ソランドーという名前になります。
67番目は誰?に関しては、アッシュクリフ病院に収容されている患者の数を表していました。
全66人の患者がいることがすでに分かっていて、このメッセージはさらに67番目の患者がいることを示しています。
テディのことですね。
さらに「患者説」の解釈を後押しする要素としてテディがみるフラッシュバックの映像です。
殺された妻ドロレスの映像を繰り返し見ますが、その姿は水に濡れた姿で登場します。
放火による火事で死んだと思っているはずなのに、実際は自分が水辺で銃殺してしまったからで、そのことに苦しみ映像がフラッシュバックしていたと考えられます。
洞窟で出会ったレイチェルと思しき女性が、その後ナースとして出てくることからもわかる通り、ほとんどの登場人物はテディを治療するために芝居をうっていた病院側の人間です。
入れ替わりでいなくなったシーアン医師がチャックだったりと、つじつまのあう内容となっています。
調査に来ていたはずの自分こそが本当は治療を必要とする殺人鬼だったことがわかり、このロールプレイ療法で改善されなければ先述のロボトミー手術を受けることになる。
映画の中でも説明されたとおりです。
テディはシーアン医師に「チャック」と呼びかけたため、治療の効果なしと判断されロボトミー手術を受けることになります。
最後「モンスターのまま生きるか、善人として死ぬか」というテディのセリフがありますが、これは上記の内容を理解したうえで、「治ったふりをして殺人鬼(モンスター)として生きるか」、「治療を受けて死んだも同然の善人になるか」という葛藤があったことを表し、自らの意思でロボトミー手術を受けることを選択したというふうに受け取ることができます。
多少疑問に残る部分もなくはないですが、テディの妄想・スリラー映画としての恐怖を煽る演出の一部として許容できる範囲でもあり、大きな矛盾は生じない解釈がこの「患者説」です。
「陰謀説」の解釈
今度はもう一方の「陰謀説」についてです。
さきほどの説とは別に医者たちの行動はすべてテディを騙す内容だったとする説です。
この説は様々なバリエーションの解釈がありそれぞれ一部解釈に違いはあれど、共通点として
テディは連邦保安官として行方不明患者の捜索に来ていただけであり、いわば被害者的な立場だとしています。
この病院で人間の感情に大きく影響を及ぼすロボトミー手術が行われていたのは劇中でも明かされており、事実なのでしょう。
その事実を知ったテディをそのまま病院から帰すわけには行かないので、すべて自分の妄想だと思わせる…
よくみると院長やシーアン医師は慈悲や哀れみに満ちた表情をテディにみせたりするのですが、それも騙すための芝居だったとすると、ストーリーの救いのなさでは「陰謀説」に軍配(?)があがりますね。
病院側はテディにすべて自分の妄想だと思わせたいはずなので、洗脳によってあえてつじつまがあわず矛盾するような体験をさせる。
崖から転落したはずなのにそこに存在しないチャックなど、「患者説」では説明がつかない現象に説明をつけるとするなら病院側の洗脳だと考えることができます。
原作ではどう描かれている?
ちなみに映画『シャッターアイランド』には原作小説があります。
原作ではどんな内容かというとストレートに「患者説」として描かれているようです。
映画ではどちらの説の解釈もできるような余地が作られているため、明確な正解というのはなさそうです。
原作に比べ映画版ではテディが自分で最後の選択をしたように描写されているため、「患者説」「陰謀説」どちらの解釈にもはまり想像力を掻き立てる内容になっています。
あなたはどちら派?
Twitter上では「患者説」「陰謀説」どちらの説も支持されています。
それぞれの説に良さがあり、なかにはどちらの解釈もアリという意見も!
シャッターアイランド、めちゃめちゃ好きなタイプの映画でくっっそ面白かったんだけど私はあえての病院の陰謀説を推すね
じゃなかったらレイチェル役やってたナースさんは早く役者に転身した方が良い pic.twitter.com/uUZCqGQOGk— ばなな注意報🍌! (@bananatosakana) February 26, 2020
映画「シャッターアイランド」見終えて。最後の言葉の意味が分からなくて考察の記事読んだりしたけど、個人的には陰謀説ではない、かなー。たくさん散りばめられてる伏線は病気説の方がしっくりくると思う。とにかくラストに向かって エエエエエエ って展開だった。
— USAGI@だぶるヘルニア (@Ruari_usapon25) September 13, 2018
シャッターアイランドが面白かったー。病気説派。取り調べの時の水飲むシーンでずっと??ってなってたけど、無駄な謎がいっぱいあるみたい。
— Juicyhop (@hop_head_) June 23, 2013
最後まで陰謀説を推していたシャッターアイランドでしたが病気説が一般的っぽい……?
— 郷家 (@gooya_58) July 5, 2019
シャッターアイランドもう一回見たけどやっぱ陰謀説を信じる
— ryugray (@RyuDudley) March 31, 2016
「シャッターアイランド」を観た。最後のどんでん返しは、やっぱりと感じた。主人公が精神的に不安定だったから。それでも、病院側の陰謀じゃないかとも疑ってしまう。精神面を強く描いた話で、現実と空想の境界が見えにくい。その揺らぎも、この作品の魅力かな?#映画好きと繋がりたい #映画
— ペンギンたろう (@bRGjgE0srUMSHNN) September 28, 2019
俺はシャッターアイランド、陰謀説を推すかな
— そラジ (@sollazi0712) January 28, 2020
シャッターアイランドってゆう映画見ては寝て、見ては寝てって繰り返してようやく最後まで見た。
準新作でツタヤに並んでる時は陰謀説派だったけど
今見たら病気説でもいいな— シュッポ٩( 'ω' )و ッポ! (@shupoden) December 14, 2015
あなたは「患者説」「陰謀説」どちら派ですか??
これは実話?病院は実在する?
ストーリーの解釈のほかに話題に上がっていたのが、この話が実話なのかどうかということです。
こんな話なかなか実際に起こるようには思えませんが、原作の良さや監督やキャストの腕か、リアリティがあります。
調べてみたところ、ストーリー自体はフィクションのようですが、劇中に登場する「ロボトミー手術」に関しては実際に過去行われた手術方法でもあります。
脳の神経線維を切断する手術で、日本でも行われていたのだとか。いま考えると恐ろしいことですよね。
また、舞台となるアッシュクリフ病院は既に閉鎖された実在の精神病院をロケ地としているそうで、ところどころで実話のように錯覚させるリアリティはこうした部分からも生まれているのかもしれません。
ふたつの解釈についてご紹介しましたが、いかがでしたか?
色々な解釈の仕方ができるのもこの映画の魅力ですよね。とにかく細かい仕草や表情まで徹底して作りこまれているため、どれが伏線でなにがミスリードでどこに真実があるのか、考えれば考えるほど深みにはまっていきそうな作品です。
他の人の感想や解釈を聞いてから観ると新たな発見があるかもしれませんね!
コメントを残す