

企画、製作、4年の間、徹底して秘密裏に準備された映画「クロッシング」は作品の特性上、非公開はもちろんのこと、実際の脱北経路を撮影するため、中国、モンゴルの海外撮影が必要だった。
まず、映画「クロッシング」のハイライト場面のために製作チームは韓国映画では初めてモンゴルのゴビ砂漠に飛んだ。
ゴビ砂漠は中国とモンゴルにまたがるアジア最大の砂漠で高地のため天候の変化が大きく、装備の使用と移動に困難がともなう場所だった。
撮影条件の厳しい日々だったが、果てしなく広いゴビ砂漠と草原、現地の村の風景、併せてウランバートル空港の撮影許可を得て、これまでの韓国映画にはない新たなスケールと映像美が加味された。
また、ジュニとヨンスの脱北ルートをリアルに描くため中国の遼寧省近辺にある広大な高粱畑、大規模な森林伐採現場と現地の汽車の車内風景などを撮影し、新鮮味を出した。
韓国、中国、モンゴルを行き来しながら総8千キロの大長駆を展開した「クロッシング」。
苦しい撮影を耐え抜いたメインスタッフの中には、実際の脱北者が複数含まれている。
彼らの経験と“伝えたい想い”が作品につまっている。

北朝鮮の現在を描く映画「クロッシング」で何よりも心血を注いだ部分は、よく知られているピョンヤン市街ではなく、北朝鮮の普通の人々が暮らしている田舎の村の再現だった。
実際の北朝鮮の村でのロケは夢にもかなわない状況のため、製作陣は緻密な事前調査を通し、北朝鮮の村をモンゴルと韓国の江原道に再現した。
各種の資料と映像のみならず、北朝鮮を最近に脱出した人々に直接取材して得たあらゆる情報を土台とした。
江原道ヨンウォルのマチャ里に作られた「北朝鮮村」のオープンセットでは北朝鮮の田舎の村の門、窓、外壁など抜かりない美術の細々とした作業が進められ、木立や生垣、トウモロコシ畑を作り、
舗装道路を土に変えるなど、映画の中でジュニの家族が幸福だった背景となるジュニの家、ミソンの家、田舎道、ヨンスとジュニの自転車道、村の祝いと川辺の場面などが撮影された。
また、モンゴルの人々の顔立ちが北朝鮮の住民たちと似ているため、製作陣は北朝鮮の住民が登場する多くの場面をモンゴルで撮影することにした。
モンゴルのバイヨ村を北朝鮮の田舎の村に変え、大平原だったウランバートル近郊の空き地に、全ての美術装備を動員して北朝鮮の田舎の市場を完璧に再現させた。
そのため、映画の中の北朝鮮の田舎の市場の場面、ヨンスが中国に発つ前、テレビを売って食糧を買う場面など、驚くほどリアルに描かれている。

「国内での配給および商業的成功の可能性の側面と、北朝鮮脱出者の人権問題という主題の認知度、および普遍性の側面で、この政治的素材が米国人たちに相対的に訴える力が大きいという点を考慮し最終出品作に決めた」
「この作品を準備し、作っている間に私は何度も涙を流した。今この時点でも、経済的に苦しい人たち、おなかをすかせている人たち、国境を渡っている人たち、家族と別れた人たちが北朝鮮にはいる。そういう人たちにどうかたくさんの関心をよせて、一緒に涙を流すことでいつの日か幸せがくればと願っています」
「脱北者の実像をありのままに見せたかった。公開の保障はなかったが、制作を続け、作品として実を結んだ」「国民の基本的な衣食住も解決できない北朝鮮の体制は、幸せな家庭をバラバラにし、“家族は一緒に暮らすべき”という当然の命題を崩壊させている現実を告発した作品」
「北朝鮮関連映画の中で最もよくできた映画」
「この映画は『アンネの日記』がナチスのユダヤ人大虐殺を告発したように北朝鮮の数百万の住民の実相を世に告発した力作だ。私たちには理解できない北朝鮮の悲劇を見せてくれる」